チェーホフの文庫の値段

チェーホフの『かもめ』を読みたいと思って書店に入り、まずは岩波文庫の戸棚を調べてみた。

 

というのも、先日買って読んだチェーホフの『ワーニャ伯父さん』も岩波文庫版だったからだ。

 

するとすぐに目当ての本は見つかり、値段に目を遣ると530円だった。

 

すぐに買おうと思い本を手にしたのだが、レジに行く前に新潮文庫の棚が目に入った。

 

よく見ると新潮文庫でもチェーホフは出ていて、しかも『かもめ』があるではないか。

 

新潮文庫版を手に取ってみると、
『かもめ』だけでなく『ワーニャ伯父さん』も一冊の本の中に収録されているではないか。

 

つまり岩波文庫版よりもボリューミーなのである。

 

ところが驚くべきことに値段を見てみると、
これが『かもめ』しか入っていない岩波文庫版よりも安く、たったの400円だった。

 

という訳で岩波文庫版を棚に戻し、新潮文庫版の『かもめ・ワーニャ伯父さん』を購入したのだった。

 

そのように決断した理由のひとつとしては、『ワーニャ伯父さん』は再読に値する作品であると思ったからである。

 

とりわけラストシーンの一連の会話は、悲惨でありながらも読み手を感動させる力をもっている。

 

チェーホフという作家は基本的に短編の名手であり、
それ故にロシア文学の中ではあまり学生の間では話題にならない作家だと思う。

 

どちらかというと、ドストエフスキーやトルストイの方がよく読まれているような気がする。

 

しかし日本においては芥川や中島敦、アメリカにおいてはカポーティがそうであるように、
短編を得意とする作家は決して侮れないと思う。